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小保方晴子の逆王手

○理研にかけられた逆王手
 昨日(4月9日)、小保方晴子さんの記者会見を見た。初めは恵が司会する番組で見ていたが、コマーシャルが煩いので、チャンネルを廻したところ、NHKでやっていた。しかしNHKも途中で切ってしまったので、またチャンネルを廻してみると、ミヤネ屋でやっている。が、これもコマーシャルが煩い。妻と「まあ大体分かったから、ここまでにしとくか」と話していると、どうやら会見そのものが終わったらしい。
 記者会見は2時間半に及んだ。彼女の今の立場で、底意地の悪い報道陣の質問にさらされながら、言葉尻をとられるような発言ミスもなく、よく持ちこたえたな。もしこれが今時の政治家や、野依とかいうノーベル賞学者以下、あの目つきの悪い理研(理化学研究所)の管理職たちだったら、これだけ長丁場の記者会見で失言もなく、感情的にもならずに切り抜けるなんて至難の業だろう。が、このコはほとんど破綻なく切り抜けた。たいしたもんだネ。そんなふうに妻と私は感心してしまった。
 「どうやらこれで理研のほうが逆王手をかけられる羽目に落ちたようだナ」。

○宣戦布告
 これは弁護士が立てた作戦だと思うが、小保方側は記者会見のテーマを「小保方論文に不正(データの改ざんとねつ造)があったかなかったか」に絞ってきた。記者会見の席上でも「STAP細胞はあるのかないのか」という類の質問があり、テレビのニュースキャスターやコメンテーターもその点が曖昧だったと不満を語っていたが、そもそも「不正」の有無の問題とSTAP細胞の有無の問題は次元が異なる。昨日の記者会見はSTAP細胞の存在を立証するための会見ではなかった。そうである以上、小保方さんは「STAP細胞はあります」と答えておけばよかったのである。
 言葉を換えれば、小保方さんは「不正にねつ造したSTAP細胞」を提出したわけでもなければ、「他の細胞を改ざんした細胞」をSTAP細胞と称して提出したわけでもない。また、理研の調査委員が自分たちで「真性のSTAP細胞」を作り、小保方さんの言う「STAP細胞」がねつ造であると証明したわけでもない。もし調査委員にそれができていれば、今回の問題は起こらなかっただろう。
 そんなわけで、今後理研の調査委員ができること/すべきことは、小保方さんに「悪意」があったか否かにかかわりなく、彼女が求めている再調査の委員会を設けて、彼女の論文がデータの選び方や扱い方の点で如何に妥当性を欠いているかを論証し、『ネイチャー』誌の編集部に小保方論文の廃棄を求めるほかはない。小保方さん自身は論文を取り下げるつもりはないと明言している以上、調査委員としてはそうする以外に方法はないからである。
 「論文を取り下げるつもりはありません」という彼女の意志表明は、理研に対する宣戦布告だったのである。

○巧みなアピール
 会見の質問のなかには、明らかに小保方さんの口から理研に対する内部告発的な言葉を引き出そうと意図したものもあった。が、彼女はそれには引っかからず、ゆっくり間を取りながら、慎重に言葉を選んで、むしろ理研に対する感謝を語っていた。「かしこい人ね。きっと親御さんの育て方がよかったんでしょうネ」。妻は感心していた。
 私も同感だが、それと共に彼女の言葉のはしばしから理研に対する強烈な対抗心を感じられた。私はSTAP細胞を作るコツを知っている。レシピもある。研究は続けたい。民間の医療関係の会社の首脳陣がこの記者会見を見て、「よし、ここは一つ彼女に賭けてみよう。早急に研究室を整備し、必要なスタッフを揃えて、そのレシピでSTAP細胞作ってみてもらおう。必要な経費はこの会社全体の予算規模から見れば数パーセントですむだろう。もし彼女が成功すれば会社の名前が上がり、膨大な収入が見込める。仮に失敗したとしても、その過程で、彼女が身につけたいろんな知見や技術を取り込むことができ、新しい研究に役立てられる。けっして損にはならないよ」。そんなふうに人の心を動かそうとする、彼女のアピールが感じられた。
 もしそういうことになって、STAP細胞の存在が証明されてしまったら、先の論文が不正なものであったか否かの問題は二の次になってしまう。理研のメンツは丸潰れだな。
 「たいしたもんだ。まあ、そのあたりが早稲田出身らしさというところかもしれないネ」。
 

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