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言語ウォチング(4)

提案二つ

○空恐ろしいエネルギー
 う~ん。そんなに凄いエネルギーが動いたのか! インターネットで『日本経済新聞』(3月28日付け)の記事を見て、私は東日本大震災がどんなに巨きなものだったか、改めて実感した。
 その記事によれば、「東日本大震災で、岩手県から福島県にかけての東北地方が沖合方向の東向きに最大約3,5メートルずれ動く地殻変動が起きていたことが28日までに、国土地理院(茨城県つくば市)による衛星画像の解析で分かった。
 震源(宮城県・牡鹿半島の東南沖約130キロ)に近いほど変動が大きく、牡鹿半島付近が約3,5メートルと最大。岩手県釜石市付近で約2メートル、同県宮古市や山形県東根市、福島県伊達市付近は約1メートルずれていた」という。

 うんと単純化して言えば、日本の東北地方全体をグイッと持ち上げて、太平洋側に3メートルほど横にずらしたわけである。

 わずかに3メートルでしかない、と言えないわけではないが、自分の家が、いきなり3メートルも横ずれした場合を想像してみよう。たとえ建物自体は倒壊を免れたとしても、家具が無事でいるはずがない。水道管やガス管のつなぎ目がはずれ、電気の線が切れてしまう。内陸部の街は地殻と一緒に動き、まだしも持ちこたえられるかもしれないが、海岸の街や村はたまったものではい。そのエネルギーが引き起こした津波をもろにかぶってしまうのである。

○海底図を
 あれから3週間も経ったが、まだ震度3、震度4クラスの余震が続いている。
 こんな現象は、日本の地震にはなかったことではないか。プレートとプレートとの押し合いで歪みが生じ、それが元の状態に戻ろうとする時に地震が発生するのだ。そんなふうに考えてきたけれど、今回の地震はそれとは違う要因も働いているのではないか。それともプレート間のストレスを発散するための巨大な地震が、もう一度起こる、その予兆なのだろうか。
 そんなことが、私たち家族の話題となった。

 娘がこんなことを言っていた。「海底ではものすごく大きい崩落が続いているんじゃないかな。海底の状況はどうなっているんだろう。地震や津波の専門家はもちろん海底の変化も研究していると思うけど、陸上の被災地を書いた地図だけじゃなくて、地盤や海底の変化も書いた地形図の情報も欲しいな。……それを見せたからパニックになるっていうことはないと思うし……」。

○ドイツに学んで
 福島の原発事故についても、なかなか収束のメドが見えてこない。
 風評被害も原発事故の被害のうちに入るだろう。福島県や茨城県の漁業や農業がその被害を被っている。栃木県や群馬県の農業も風評被害を免れ得ない。群馬の太田市では、風評被害で値崩れしそうな野菜を、農家から買い取り、地震と津波の打撃を受けた人たちの避難所へ贈ることにしたらしい。

 「私たちがドイツ(西ドイツ)へ行ったのはチェルノブイリの原発事故があった、次の年だったでしょう。あの時、ミュンヘンのスーパーマーケットなどの食品売り場では、ガイガー・カウンターが置いてあって、お客さんに《この野菜の数値はこれだけだけど、それでいいか》って確かめてから、売っていた。私は言葉がよく分からないし、数字の計算が苦手だったから、うんうんと頷いて買ってきたけれど、放射性物質が検出された野菜は食べないとか、その数値のものは危険だからって敬遠するという人もいたと思う。……そういうやり方も風評被害を防ぐ、一つの方法なのじゃないかしら。危ないなって思ったら、買わなければいいんだし、自分の知識ではこの程度の数値は問題ないと思ったら買うでしょうし、とにかくお客さんが自分の責任で買うわけだから……。お店にそういう器械を設置するように指導するとか、日本の技術力ならば携帯用の計測器を作るのはお手のものなんだから、家庭に一個ずつ配っておくとか、そうすれば風評に惑わされることも少なくなると思う」。これは妻の意見である。

○「この期に及んで」?
 えっ!? 彼の立場でそれを言うんなら、「こと、ここに至っては」と言うべきじゃないのか。

 昨日(4月2日)、朝食を摂っている時、何気なくテレビを入れたら、みの・もんたが司会する番組で、各党から一人ずつ国会議員に出て貰い、色んな質問をして、イエス・ノーで答えてもらっていた。
 民主党と自民党の大連立は是か非か。そういう質問に対して、民主党の渡辺という国会議員がイエスと答え、その理由を訊かれたところ、「この期に及んで」と説明を始めた。
 「この期に及んで」とは、相手がもう手詰まりになってしまっているにもかかわらず、まだ何とかなりそうだと悪あがきをしているのを見て、いい加減に観念したら、と引導を渡すときに使う。民主党の渡辺にとって、引導を渡すべき相手は誰なのか? まさか大連立の相手である自民党ではあるまい。
 それに対して、「こと、ここに至っては」は、もはや事態は自分(たち)だけの力ではどうしようもないところにまで来ていると、潔く観念をして、ある決断を述べる、あるいは促す場合に使う。
 ひょっとしたら民主党の渡辺代議士は、事態を手詰まり状態にまで悪化させてしまった責任は自民党その他の野党にある、と思っているのかもしれない。何とも虫のいい発想だが、ともあれこんな言葉遣いのなかにも、民主党議員のホンネが漏れていたような気がする。

 いやいや、そうではなくて、この時の渡辺代議士は党内野党の立場で、菅首相をはじめとする民主党の幹部連中に物申すつもりだったのかもしれない。しかし、もしそうならば、彼は発言すべき場所を間違えていたのである。

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