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北海道文学館のたくらみ(4)

パワー・ハラスメントの実態(中)

○10月28日の記録
 前回も紹介したように、K嘱託職員は自分に依頼された仕事の性質をよく弁え、仕事の流れを把握するために、筆まめに「道立近代文学館覚え書」というノートを取っていた。そのことは、「駐在道職員の高圧的な態度について」(「北海道文学館のたくらみ(1)」参照)というアピール文から推測できるが、おそらくこの心掛けが、彼女に、有形無形の館内の嫌がらせに抵抗する精神力と方法を与えてきた。
 相手の悪意ある言いがかりに対して、もし彼女の提出できる反論が単なるうろ覚えの記憶でしかなかったならば、相手は水掛け論に持ち込んで、彼女の言い分を無効にしてしまうことができる。あるいは数を頼んで、彼女の言い分を押さえ込んでしまう。ところが彼女は、それに対して、具体的な日時と場所に基づく事実と、事の経緯を挙げることで対抗してきたのである。

 K嘱託職員は10月28日、T学芸主幹から自分の仕事ぶりを「サボタージュ」と言われ、3日後の10月31日、A4版13ページに及ぶ「駐在道職員の高圧的な態度について」を書き上げて、神谷忠孝理事長、毛利正彦文学館長、平原一良副館長、K業務課長、T学芸主幹の5人に渡した。
 筆まめにノートを取っておく習慣がそういう素早い対応を可能としたわけだが、次に引用する「10月28日」の箇所は、ノートに書き止める時間的な余裕がなく、いわばぶっつけ本番で書いたものだろう。それだけに、出来事の経緯だけでなく、K嘱託職員の表現能力や表現の質もよく伝わってくる。引用は少し長い。
 私はこれまで、他の文章から引用する場合は、読んでくれる人が認知しやすいように、引用文を赤字に変えてきた。今回はK嘱託職員の文章によって事態を語ってもらう方法を採るため、赤字の文章が続く。眼に負担が大きいかもしれないが、ご海容をお願いする。
《引用》
 
平成18年10月28日(土)、K(本人。以下、「K」もしくは「私」と表記)は朝から閲覧室勤務であった。Kは、一人で業務を行っていた。そこに昼前(11時頃)、T主幹(以下、「T主幹」もしくは「主幹」と表記)が訪れた。
主幹は、閲覧室のプリンタを用い、印刷作業を行った。11時40分頃、作業を終え、閲覧室カウンター奥パソコンの前を離れた。そしてカウンター横を通り過ぎた時、突然、Kに対し、
 「そういえば、Kさん、文学碑の仕事はどうなっているの」と尋ねて来た。

 Kは、〈文学碑の仕事〉とは、〈北海道の文学碑データベース〉の作業であると解した。文学碑データベースについては、各市町村・自治体から特に新たな情報は入っていなかったので、更新も行っていなかった。そこで、「いいえ、特に何もやっていませんでした」と答えた。すると、主幹は
「やってないって、どういう事。文学碑のデータベースを充実させるのは、あんたの仕事でしょ。どうするの?もう、雪降っちゃうよ。」とたたみかけた

 Kは、〈データベースの充実〉と〈「もう、雪降っちゃうよ」〉という言い方とがどのようにつながるのか了解しかねたので、どういう事かたずねてみた。すると、T主幹の主張するところは、主に以下の2点であった。

・以前、T主幹と平原一良副館長(当時は学芸副館長)、それにKの3名は、館長室において文学碑データベースについて打ち合わせを行った。その際に、担当者であるKが、文学碑のデータベースをより充実させ問題点があれば見直しをはかり、さらに、Kが碑の写真を撮ってつけ加えてゆく作業をする事に決まった。

・これらは、Kが主体となって執り行うべき業務である。それを現在まで行わなかったのは、Kのサボタージュに当たる。

 しかし、後に〔データベース打ち合わせ当日の記録〕の項で詳述するが、その“館長室における打ち合わせ”の際に、上記の如き決定や申し合わせはなされていなかった。そこで、Kは、〈そのような事は決まっていない〉と反論した。しかし、主幹は、あくまで〈決まっていた〉と主張した。そして、
「どうするの。理事長も館長も、あんたがやるって思ってるよ」と言った。

 それを聞いてKは、おそらく誤った情報が神谷理事長や毛利館長に伝わっているのだろうと思った。そこで「わかりました。では、私が理事長と館長にご説明します」と言った。ところが、主幹は、
「なぜ、Kさんが理事長や館長に説明しなきゃなんないの」と言い、そのような事は不要だとした。

 Kは、一対一で押し問答に終始すべきではないと思い、「それでは、もう昼にもなるので、事務室へ行ってお話うかがいましょう」とカウンターを立った。すると、主幹は、「なに、その態度は。」と言ったが、Kは、「いいじゃないですか、みなさんのいる所でうかがっても。」と言い、事務室に向かった。主幹も「いいよ」と答え、しばらくして事務室に上がった。(なお、当時、事務室にはS社会教育主事・N主査・N主任がいて昼食をとり、部屋を出入りするなどしていた。)

 昼食後、Kは、改めて話を聞こうとした。だが、T主幹は、〈もう2度も話したから、その通りのことだ〉と言い、なぜか主張の詳細を事務室では口にしようとしなかった。〈要するに認識の相違だ〉とも言ったが、Kの“文学碑に関してそのような仕事は決まっていなかった”という主張は、依然、認められないとの事だった。

 しかし、専門性を認められて報酬を受けている嘱託職員にとって、かりそめにも〈サボタージュ〉を行ったと職場の人間に決めつけられるのは、重大な問題である。だから、Kは、〈では、その問題について、副館長もK業務課長も揃ったところで、説明させていただきます〉と言った。ところが、主幹は、
「いいかい。たかが、だよ。たかがデータベースの問題でしょう。それを、なんであんたが、平原さんやK課長に説明しなきゃなんないの」と、今度は一転、データベースの問題の重要さそのものを否定した。そして、
「説明したいんなら、まず、私に説明しなさい。」

「何かやるときには、まず、私に言いなさい。」と言い、Kが〈2人の間に認識の違いがあるというのだから、その事について、他の方に意見をうかがいたいのだ〉と言うと、「説明してわかってもらいたいなら、わたしにまず説明しなさい。私がこの学芸班を管理しているんだ。そうした決まりを守らないなら、組織の中でやっていけないよ」と発言した。

 Kは、事が、自分の雇用や勤務の在り方にまで関わる問題に発展しかねないと思ったので、机の中に入れていた録音機を取り出し、〈話の詳細を心覚えに記録させていただきますので、どうぞお話し下さい〉と言った。
すると主幹は、今度は話を続けることなく、急に
「あんたひどいね。ひどい。」

「あんた、普通じゃない。」と繰り返すにとどまった。

 Kは、主幹に、〈私に話したい事があるなら、記録を取られるからといって、なぜ、話さないのか。誰がいたとしても、一対一の時のように、はっきり言えばいいではないか〉と言った。そして、〈私は、この問題について、これからも追求してゆくつもりだ。その事は、自分自身が(自分の言葉として)これ(録音機)に記録しましたから〉と言い、午後の勤務のために事務室を出た。

これが、10月28日に起こった出来事の概要である。
                                             《引用終わり》
○T学芸主幹の嘘つき
 事の経緯は一読して明らかだと思うが、幾つか見過ごしにできない点があり、それを検討してみたい。
 その一つは、T学芸主幹はあきらかに自分が嘘をついていると自覚しながら、K嘱託職員に言がかりをつけてきたことである。

 まずT学芸主幹がいう文学碑の写真集めについて言えば、K嘱託職員が自分のノートを整理して確認したように、――その箇所も前回、紹介した――T学芸主幹はK嘱託職員が作った文学碑のデータベースを見て、ケータイによる文学碑のフォトコンテストを思いついた。だが、K嘱託職員から仕事の性質が異なることを指摘されて、結局フォトコンテストの件は自分から取り下げてしまった。要するに話が立ち消えになっただけであり、T学芸主幹が思いついたことの一部をK嘱託職員が引き継いで実現するという申し合わせさえもなかったのである。
 では、T学芸主幹はその経過を忘れてしまい、ただ〈K嘱託職員には年度内に、文学碑の写真を集める仕事がある〉と思い込んでいただけなのであろうか。

 だが、それは単なる思い込みや勘違いなどではなく、確信犯的に捏造した虚言だった。なぜならT学芸主幹は、「どうするの。理事長も館長も、あんたがやるって思ってるよ」と、理事長や館長の名前を出して自分の主張には支持者がある振りをし、ところがK嘱託職員が「わかりました。では、私が理事長と館長にご説明します」と反応するや、「なぜ、Kさんが理事長や館長に説明しなきゃなんないの」と慌ててしまったからである。
 仮に単なる思い込みであったとしても、T学芸主幹は自分の主張に自信があるならば、K嘱託職員が理事長や館長に会うことを警戒する必要がない。むしろ積極的に、K嘱託職員を理事長や館長と合わせればよかっただろう。

 そのように整理してみると、T学芸主幹は、理事長や館長がその件では何も知らないことを知っていた。あるいはT学芸主幹は、理事長や館長に、その件について、嘘のことを告げていた。だからT学芸主幹にとって、K嘱託職員が理事長や館長と直接に話することは、大いに困ることだった。そういう結論となるはずである。

○「館長室」というトリック
 要するにT学芸主幹は、言葉のトラップ(罠)を仕掛けて、K嘱託職員を慌てさせ、それにつけ込んでKの〈失態〉をあげつらうつもりだったのだろう。
 そのトラップの急所は「
館長室において文学碑データベースについて打ち合わせを行った」というT学芸主幹の主張だった。確かに5月2日の話し合いは館長室で行われ、だからうっかりすると、館長や理事長も同席していたように錯覚しかねない。または、そのように思い込まされてしまいかねない。
 だが、K嘱託職員が自分のノートに基づいて書いた「「駐在道職員の高圧的な態度について」によれば、次のような事情で、館長室を使ったのである。
《引用》
 
〈発端〉

10:00頃、学芸課(※学芸班)の打ち合わせ
T学芸主幹(以下、主幹と略)より、
「Kさんと文学碑の写真の事について話をしとかなきゃいけない」と
打ち合わせの申し入れがあった。

       ↓

「2人だけですか」と確認したところ、「誰でも入って欲しい人に入ってもらっていい」という事だったので、平原学芸副館長(以下、学芸副館長と略)(※その時点での職名)に入ってもらう事にした。
       ↓
11:00、館長室にて打ち合わせを始める
当初は、学芸副館長が〈事務室のソファーで〉と言っていたが、十数分後、同じく学芸副館長から〈館長が休みなので、館長室で〉と、変更を言って来た。
 

 こういう経緯で館長室を使うことになり、確かに文学碑データベースも話題になった。だが、その時の主たるテーマは、〈ケータイフォトコンテストを行うか否か〉、〈もし実施する方向で検討を進めるとして、では誰が、その企画書を書くべきなのか〉ということだった。そして、その話し合いの間に、〈文学館の市民に対する情報サービスとしての文学碑データベースと、イベントとしてのフォトコンテストは性格が異なる〉ということが理解されたのである。

○T学芸主幹の陰湿
 もう一つ私が注意したいのは、T学芸主幹という男の嫌がらせのパターンである。
 今回引用した最初の箇所で分かるように、10月28日、K嘱託職員は閲覧室の仕事に就いていた。閲覧室には割合にポピュラーな文学全集や、北海道の各地で発行された文芸雑誌の類が置いてある。
 来館者の中には、そういう図書を読みに来る人もいるが、むしろ北海道に関する文学書で、公共の図書館が持っていない本を探しに来る人のほうが多い。そういう人はカウンターで、閲覧を申し込み、閲覧室勤務の職員が収蔵庫から探してくる。ただしこの文学館は館外貸出しをしない。だらか、閲覧室勤務の職員は、次の来館者の申し込みに応じたり、来館者が返却した本を収蔵庫の元の場所にもどしたり、その合間に寄贈された図書を登録する作業を行っている。
 
 一見これは誰でもやれる単純な仕事のようだが、道立文学館の場合、図書館とは異なる〈独自な〉配架方法を採っているため、必ずしもそうではない。だが、配架や資料整理の問題は別な回で取り上げることにして、ともあれ10月28日、K嘱託職員はそういう仕事に就いていた。そこへT学芸主幹がやってきて、プリンタを使って印刷作業を行い、「
そしてカウンター横を通り過ぎた時、突然、Kに対し、「そういえば、Kさん、文学碑の仕事はどうなっているの」と尋ねて来た。」閲覧室に来館者がいなくなるのを見計らっていたのかもしれない。
 そこで文学碑の写真に関する押し問答が始まったわけだが、「
Kは、一対一で押し問答に終始すべきではないと思い、「それでは、もう昼にもなるので、事務室へ行ってお話うかがいましょう」とカウンターを立った。」これは当然の対応と言うべきだろう。前回紹介したように、T学芸主幹は他の職員がいないか、近くにいても口を挟みにくい状況を狙って、K嘱託職員に難癖をつけてくる。そういうT学芸主幹の傾向に、K嘱託職員は気がついていたからである。

 T学芸主幹は、K嘱託職員の態度に一瞬虚を衝かれたらしく、「なに、その態度は。と咎め立てはしたものの、結局事務室について来た。ところが、先ほどまでの態度はどこへやら、他の職員の前では「もう2度も話したから、その通りだ。としか言えない。つまりT学芸主幹という男は、仕事の内容――何をやるのか、それをする事は既に決定されたことなの、誰が担当するのかなど――については、他の職員の前では、K嘱託職員と議論することを避けたがる。他者の介入がないだろう場面を選んで、粘っこくからんでゆくのである。
 K嘱託職員はそういうT学芸主幹の陰険な陰弁慶ぶりを、以下のようにまとめている。
《引用》

要するに、10月28日、T主幹は、
・決定されていなかったばかりか、懸案にもなっていなかった事柄について、あたかもKがやると決まっていた事だったかのように言い、
・〈やっていなかった〉という事実のみを取り上げ、それがKのサボタージュだと決めつけ、
・Kが〈打ち合わせでそのような事は決まっていない〉と訂正しても決して認めようとせず、しかし、なぜか事務室で、第三者がいる中では、その主張を続ける事が出来なかった
のである。

○T学芸主幹の下士官根性
 だがその反面、T学芸主幹は強烈な序列意識の持ち主らしく、それをひけらかすチャンスがあれば、他の職員が見ている前でもお構いなしに、いや、むしろ他の職員が見ている場面であればこそ、これ見よがしに言い募る。
 
あなたがそういう動きをする事は、誰が知っているの。」、「平原さんが知っていなければ、誰があなたに対して、そういう動きをしていいと承認するの」、「そういう動きの事は、前もって私に言うべきだ」、「私が、学芸班内における動きを知らないというのはおかしい」、「なぜ、先に話し合いをしないの」、「何度同じ事を言わせるの」 、「こんなところで予定を言って、“よろしいでしょうか”って言ったって、誰も、いいなんて言えないんだよ!」、「あんた、みんなに、いいって言って欲しいんでしょう。だったら、やることちゃんとやんなさい!」
 前回の引用でも、T学芸主幹はこういう居丈高な罵詈雑言を吐き続けていたわけだが、そういう男の魂胆を一言で言えば、「お前はこの組織の序列で一番下なんだ。何かをやりたいんなら、まず俺や平原の顔を立てろ」という下士官根性だろう。
 10月28日の出来事も結局はそこに行き着く。くどいようだが、T学芸主幹という男の居丈高な下士官根性を確認するため、もう一度その箇所を引用したい。
《引用》
 
しかし、専門性を認められて報酬を受けている嘱託職員にとって、かりそめにも〈サボタージュ〉を行ったと職場の人間に決めつけられるのは、重大な問題である。だから、Kは、〈では、その問題について、副館長もK業務課長も揃ったところで、説明させていただきます〉と言った。ところが、主幹は、
「いいかい。たかが、だよ。たかがデータベースの問題でしょう。それを、なんであんたが、平原さんやK課長に説明しなきゃなんないの」と、今度は一転、データベースの問題の重要さそのものを否定した。そして、
「説明したいんなら、まず、私に説明しなさい。」

「何かやるときには、まず、私に言いなさい。」と言い、Kが〈2人の間に認識の違いがあるというのだから、その事について、他の方に意見をうかがいたいのだ〉と言うと、「説明してわかってもらいたいなら、わたしにまず説明しなさい。私がこの学芸班を管理しているんだ。そうした決まりを守らないなら、組織の中でやっていけないよ」と発言した。

 K嘱託職員の記録を読んでゆくと、このT学芸主幹に限らず、毛利正彦文学館長も平原一良副館長も、やたらに「組織」という言葉を振り回す。毛利正彦の組織論がスターリン主義でしかないことは、「北海道文学館のたくらみ(2)」で指摘しておいた。しかし、どうやらそれは褒め過ぎだったらしい。その本質は暴力団の組織論と変わらない。そのことをT学芸主幹の言いざま、態度がよく語っている。
 それにしても、駐在北海道教育委員会職員・学芸主幹という肩書きの、この人物、「
私がこの学芸班を管理しているんだ。そうした決まりを守らないなら、組織の中でやっていけないよ」とは、相当に思い上がった三下やくざだな。
 
○K嘱託職員の姿勢
 K嘱託職員はこのような事例を挙げて、――以上がその全てではないが――次のような結論を語っている。これもかなり長い引用になるが、彼女がどのように条理を通そうとしているか、その姿勢が如実に伝わってくるだろう。
《引用》

 このように経緯をたどってゆくと、T主幹の常に意図するところは、おおよそ、

1・Kが、他の上司の誰よりも主幹を優先的に扱う事
2・Kが嘱託として一任されている仕事の場合であっても、Kがその責任を果たすための行動については、すべて、あらかじめ、主幹の検閲を受ける事
3・Kがその事項について承認してほしいと思う場合は、文学館の規約を守るよりも、主幹の感情にそむかないようにする事が大事なのだと、Kに徹底的に知らしめる事

の3点であるように思われる。
 
このうち、3点目についてそう判断するのは、主幹が主張する事柄に関して、他の職員に確認をしても、これまで誰一人として、「主幹の言う事が正当である。Kはここで働く以上、その事を遵守しなければいけない」と言う人はいなかったからである。つまり、主幹の理論は、館の規約とも職業人の常識とも関わりないものであると言える。

 そして、以上の3つの意図が端的に現れたのが、10月28日の事例であると言えよう。
 これまでの経緯を見ても、K主幹との間では、〈話し合い〉に相当する対話は成立しない。そればかりか、学芸業務の依頼・指示すら一度もなされたことがない(展示作業・書籍整理・郵送等のいわゆる学芸業務についてKに依頼していたのは、S社会教育主事とA学芸員だけであった)。Kに向けられる言葉の大半は、手続き論や形式論に関する詰問・叱責・命令である。

 
主幹の方が、明らかに客観的に事実と違う事を言っている時でさえ、それを指摘されても、認める事も譲歩する事もない。主幹は常に、Kの方が“基本的な事は何も知らない奴”だという事を前提として言葉を発している。また、〈誰があなたにそれを許しているの〉〈ちゃんとやんなさい〉〈組織人としてなっていない〉等の言葉は、明らかに、それを耳にしている周囲の者に対しても〈今、自分にこのように言われているこの者は一人前の人間ではなく、職業人としてまともに遇するに価しない奴なのだ〉というメッセージを含んだものとなっている。
 このような口の利き方は、とうてい、ある年齢に達していて一定の専門性が認められている同僚職員に対するものとは言えないであろう。

 さて、個人差もあるとはいえ、通常、女性は、自分に対してこうした言葉の暴力を振るう傾向を持った人間と、2人きりで話す機会を持ちたいとは考えないものである。まして、それが職場の目上であり、自分が被雇用者の立場であれば、だれか第三者が側にいてくれる状況を求めるのが当然である。
 
また、別な面からいえば、職場で仕事をする上では、同僚とのコンセンサスの共有が一番重要な課題である。それに、現在の道立文学館においては、事務室にいる職員は全員集まっても8人程度にすぎない。その人たちがなるべく多く集まっている時に、今、どういう仕事をすすめ、どんな予定で動いているのかという事を話しておくというのは、非難されるべきでないばかりか、むしろ推奨されるべき事であろう。

 ところがT主幹は、Kのそのような動きをすべて否定し、〈すべて、まず、第一に私を通せ。私がお前を管理している。〉という内容の発言を繰り返し、また〈(たかがデータベースのことを)何で平原副館長や、K課長が揃ったところで説明しなければならないのだ〉と、聞きようによっては、財団職員をすべて自分より格下に見ているとしか受け取れない発言すらしている。
 
このような言い方で自分を特権的に扱う事を、しかも、雇用身分が最も不安定な者にのみ強要することは、きわめて悪質なパワー・ハラスメント(上司の部下に対する言葉や態度による暴力)に相当するのではないか。また、今までKは幾度か他の職員に事情を話し、一方、職員のうちの幾人かも、Kが主幹に上記のような扱いを受けている場面をしばしば見かける機会があった。それにも関わらず、これまで何ら有効な対応もなされてこなかったということは、もしかするとこの〈北海道立文学館〉という組織そのものに、ハラスメントの素地があると言えるのではないだろうか。Kは、そのように考える。
                                             《引用終わり》
 これがK嘱託職員の結論である。こういう筋道の明らかな論理で結論を導いたのち、K嘱託職員は次のように、相手に反論を促し、それによって対話を進めようとしていたのである。
《引用》
 
以上の点については、T主幹以下、それぞれの関係者から、反論もしくは別の視点からの意見も提出される事もあろう。また、内容をお認めになるという場合もあるだろう。そうしたご意見・ご回答は、すべて文書の形で、Kにお渡しいただきたい。これは、Kとしても、より正確な記録を残しながら、今後の対応を続けていきたいためである。
 例えば、

・Kには、実際これまで、身勝手かつ無責任な行為、またはサボタージュ行為等によって、館の職員もしくは来客に迷惑をかけた例がある(ボランティア時代からを含めても可)
・Kには、多少上司が圧力をかけてでも、その未然防止につとめなければならないような問題的な性癖・行動がみられる。あるいは、明らかに〈普通ではない〉と認められるような異常性がある

というようなご意見がある場合には、是非とも、具体的な事例や証言を添えて、K当人にお渡し下さるよう、切にお願いしたい。
 なお、文書でのご意見・ご回答は、11月10日(金)までにお渡しいただきたい。

                                             《引用終わり》
 しかし、T学芸主幹も、神谷忠孝理事長も毛利正彦文学館長も平原一良副館長もK業務課長も、誰もそれに答えようとしなかった。
 驚くべきことに、T学芸主幹はK嘱託職員が挙げた事例に一言半句も反論することなく、毛利正彦文学館長や平原一良副館長の陰に隠れてダンマリを決め込んでいる。他方、神谷忠孝理事長や毛利館長や平原副館長やK業務課長は、K嘱託職員が挙げた具体例に即した事実関係を調査することなく、つまり何の反証も挙げずに、パワー・ハラスメントはなかったと言い張っているのである。
                                             (この項、続く)

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コメント

本事例の展開を見守りたいと思います。時系列的には、”神谷以下の幹部たちはその問題をまともに取り上げることをしなかった。その代わりに、毛利正彦の口を通して、被害を訴える嘱託職員の解雇を通告してきた。”が最新のようですが、現時点では、どうなっているのか、先を知りたい気持ちに駆られます。道立北海道文学館のウェッブサイトを見る限り、解雇されていないようにも思われます。
中間段階での感想としては、かかる事例は、私の見聞する限り、日本社会において、例外的なものではありません。その意味で、日本社会のいわゆる近代化は、今なお未完のプロジェクトではないでしょうか?
K嘱託職員の筋を通した職業生活に敬意を表するとともに、陰ながら応援したいと思います。

投稿: 直感子 | 2007年1月 9日 (火) 23時26分

はじめまして。
完結してないようですが、今の時点まで読んで思ったことを
素直に書かせてもらいたいと思います。

自分は某官公庁で臨時職員をしていたことがあるので、
(課の中で)不安定な雇用且つ一番下である立場は経験済みです。
なのであの独特な雰囲気、わかります。

Kさんの言い分も、Tさんの言い分もよくわかる。
お互い言葉が足りないんじゃないかな。
KさんももっとTさんとコンタクトをよくとって、それでも
納得できないことはそれとなく他の人に相談すれば
よかったんじゃないかしら。
(大げさな感じじゃなくてね、日常的な会話の流れからとか。)

Tさんも責任感が強くて、その班を自分がちゃんと仕切らなきゃ
いけないって思ってるんじゃない?
だから、些細なことでも良いから相談・報告してもらって
いわば自分を立ててもらいたいのではと思います。

職場の人間と、仕事上の付き合いだけしてれば上手くいくか
ていうと決してそうではないと思う。
だからこそ、みんなで一緒にご飯を食べたり飲みに行ったり
仕事以外の一面を見ることで、仕事中は厳しいけどこんな
一面もあるのね、となったりして、上司部下という枠を超え
人対人として仕事ができるようになるんじゃないかな。
(いわゆる、お互いを立てる事ができるようになるのではと。)
そうなれば自然に場の空気が穏やかになり、パワハラなんて
ギスギスした感じにはならないと思うぞ☆

長くなりましたが、自分が言いたいことは
・お互い立場をわきまえろ。
・仕事以外の一面も大切。
・自分とあわない人がいるのが社会。
 だからこそ、お互いを尊重するのが大事。
・仕事をすればいいってもんじゃない。
 まずは、皆さんに可愛がってもらえる人間になろう。
というところかな。

もしかしたら、パワハラなんて大げさなものじゃないかもしれない。
もしくは、パワハラかもしれない。
その辺は現場にいないのでなんとも言えないけど、
お互い納得できる方向で解決すればいいなぁと思います。

投稿: nana | 2007年1月16日 (火) 00時27分

ご関心をお持ちくださってありがとうございます。

返事が遅れました。新しいブログ、「北海道文学館のたくらみ・資料編」( http://fight-de-sports.txt-nifty.com/wagaya/)を作っていたためです。ご海容下さい。
このブログには、K嘱託職員が文学館の幹部職員に渡したアピール文など、資料となるものを、全文載せることにしました。お時間に余裕がある折、ゆっくりお読み下さい。
K嘱託職員がどんなふうに、話し合いや、共通の認識を持つために辛抱強く努力したか、お分かりいただけるのではないか、と思います。

最近の「いじめ」に関する認識は、本人が「いじめられている」と感じる感じ方を重視する方向に進んでいるようですね。今日もNHKのニュース番組で、そんな報道をしていました。
K嘱託職員は、そういう自分の感じ方を、抑制された、客観性の高い表現できちんと伝えようと努力している。私はそう思いました。

投稿: 亀井 秀雄 | 2007年1月19日 (金) 21時19分

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