2008年夏・高校野球&オリンピック(その1)
○見事なバトン・パス
2008年夏の甲子園大会と北京のオリンピックが終わった。
8月22日、日本の野球は明らかに韓国の野球に気合負けしただけでなく、力負けしていた。夜になっても白けた気分は治らず、書斎で仕事をしていると、家族から「男子400メートル・リレーの決勝が始まりますよ」と声を掛けられた。急いで茶の間に出て見ると、まさにスタートの瞬間だった。第3走者の高平からアンカーの朝原にバトンが渡るとき、朝原がちょっと後ろを振り向いた。「あっ、まずい」。思わず声を上げてしまったが、朝原がよく走って、銅メダル。すばらしい。気分がすっきりした。
バトン・パスも実力のうちだからナ。
今回のオリンピックの陸上リレー競技では、アメリカのチームが男女共にバトン・パスに失敗して、決勝に進出できなかった。リプレーを見ていると、アメリカの選手はバトンを受け取る際、左手を後方斜めに延ばしてバトンを受取ろうとするが、ダッシュと共に手が揺れて、走りこんできた仲間がうまく渡すことができない。
私は全くの素人だが、中学生の頃、バトンを受け取る右手は腰に当てて固定し、後ろを振り向かずにダッシュするように指導された。現在のバトン渡しはどんな方法がよしとされているのか、理論的なことは分からないが、素人目にもアメリカのチームは下手糞だった。あれじゃ駄目だね。そんなことを家族に言っていたところなので、アンカーの朝原がちょっと後ろを向いた瞬間、はっとした。リプレーを見ると、やはり朝原の手が、高平のバトンを探している感じだった。だが、大きなミスにつながらなくてよかった。
○おやじギャグ
同じく私の素人判断によれば、100メートルや200メートルの短距離走のスタートで、「用意(0n your mark)」の声がかかった場合、あまり尻を高く上げてはならない。スタートラインの内側ぎりぎりのところに両手をつき、むしろ上半身を水平に前へ押し出すようにして、体重を両手にかける。そのほうがスタートダッシュがスムースに行き、素早くトップスピードに乗ることができるからだ。
私はそう教えられてきたのだが、ジャマイカのボルトの「用意」は尻が高い。身長が大きいためかもしれないが、ひと際高く見える。それでいて、世界記録を出したのだから、「うそジャマイカ」。理論を撥ね飛ばしてしまう実力に、私は驚いた。
○千三つ
今日(8月25日)の新聞によれば、野球の星野監督が「強いものが勝つのではなくて、勝ったものが強いということを実感した」という意味のことを語ったらしい。要するに、日本の選手はそれぞれ能力が高く、総合力では一番だったはずだ、と言いたいらしいのだが、「ばかジャマイカ」。
日本対韓国の準決勝では、初回に日本が1点を取ったが、4番の新井がピッチャー・ゴロ。併殺崩れの間に、西岡がサードから駆け込んで、まず1点。「サードにランナーを置いて、4番バッターが犠牲フライも打てないで、ピッチャー・ゴロ。ひ弱なチームだな」。そう思っていたところ、案の定、継投策が失敗して、逆転負け。
私は全ての試合を見たわけではないが、その前に見た試合でも、1アウト2、3塁のチャンスで阿部が犠牲フライも打てなかった。岩瀬を2イニング投げさせたのも失敗。星野はアジア予選の時の岩瀬の残像に引きずられたのだろう。
アメリカの400メートルリレーは、選手一人ひとりの記録を合わせてみれば、世界最速のチームであり、文句なしに世界記録で金メダルを取るはずだった。しかし多分、バトン・パスの練習を怠った。俺たちは早い、という選手の驕りが、そうさせたのだろう。星野監督は投手の起用とリレーに失敗した。「奢ったものが勝つのではなくて、チームプレーの錬度を高めたものが強い」のである。
星野の名前は仙一だが、彼の采配が当たる確率は「千三つ」というところだな。
○お国自慢
視聴率の点から見ると、女子ソフトボールの決勝戦は、まさに国民的な関心事だった。女子のソフトボールが国民的なスポーツになった瞬間と言えるだろう。
上野の3連投は驚異と言うほかはない。7回の裏、アメリカがランナーを出す。もう1本ヒットが出たら、上野が崩れてしまうかもしれない。心配して見ていたところ、前進守備を取っていたサードの廣瀬がすばらしい反応で、二度、ヒット性の当たりを好捕した。
上野の3連投に、一昨年の甲子園大会、早稲田実業の斎藤投手を重ねて見ていた人も多かったと思う。「斎藤は群馬県の子だし、今日の女子ソフトの主力選手もルネサス高崎とか、太陽誘電とか、群馬の企業で働いているんだ。群馬の土はゲルマニュウムの含有量が多いからネ、それで群馬の野菜を食べてる人間は連投がきくし、集中力も切らさないんだョ」。
妻と娘が笑って、「お父さんは、自分もそうだと言いたいんでしょ」。
それにしても、なぜ星野監督は早稲田大学の斎藤祐樹を選ばなかったのだろう。
○研ナオコふうに
「男子50キロ競歩で7位に入賞した山崎さんて、前の日にうな丼を3杯も食べて、下痢をしてたんですって」。
「まさか中国産のウナギじゃないだろう」。
「ニュースでは何も言ってなかったけれど、日本産を持って行ったんじゃないかしら。……下痢しながら7位入賞なんて、スゴイわね。でも、可笑しいの、途中からペットボトルの水をトランクスにかけながら頑張ったんですって」。
「ふ~ん、そうか。研ナオコふうに、大変だったんだな」。
「それ、どういうこと?」
「うん、プチプチ、プチプチ、プチシルモ」。
途端に妻はぷっと吹き出し、娘は腹を抱えて身もだえしていた。
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