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2007年日本シリーズ(2)

○民主党の自壊?
 昨日(24日)の夕方、民主党の小沢代表が突然、党首を辞めると言い出し、今朝もマスメディアが騒いでいる。10年に一度の大衝撃なのだそうである。
 しかし結局、「試合を作っているのは自民党の福田首相のほうだ」という事実が明らかになっただけのことではないか。

 私たち家族は、民主党を、プロ野球で言えば二軍レベル、Jリーグで言えばJ2程度としか見ていなかった。
 ところが、安倍内閣の閣僚から、安倍首相の足を引っ張る大臣が次々と現れ、おかげで民主党は、今年の夏の参議院選では大勝することができた。
 実際は自民党のオウン・ゴール(自殺点)に助けられて、民主党が勝ちを拾っただけなのだが、民主党の議員はJ1リーグとJ2リーグの入れ替え戦にまず1勝したと思い込み、「さあ、この勢いに乗って福田首相を衆議院の解散にまで追い詰め、選挙でもう1勝すれば、J1に昇格できる」。そんなふうに意気が挙がっていたらしい。小沢一郎もそんなポーズを取っていた。
 勢いに乗ってしか勝てないのは、実力がない証拠ではないか。私はそう見ていたのだが、小沢一郎も本心は自信がなかったのだろう。

○象とうわばみ
 福田康夫の政治家としての力量はよく分からない。力量を振るってみせる場面は、これまでなかったように思う。ただ、官房長官としての経験が長く、ネゴシエーターとしての自信があるのではないか。最近の行動から察するに、この局面を乗り切るにはネゴシエーターに徹するしかない。そう覚悟を決めているように見受けられる。
 それに対して小沢一郎は、常に一家言ある「大物政治家」として振舞ってきた。

 そんなわけで、私は、福田首相と小沢代表とが会談すると聞いた時、『星の王子様』(サン・テクジュペリ作)で、象を飲んだうわばみの、あのユーモラスな挿絵を思い出した。福田うわばみが民主党を飲みにかかっているようだが、果して飲み込んでしまうことができるか。それとも小沢代表が、薄皮一枚で持ちこたえている自民党を破裂させてしまうか。これは短期決戦で決着をつけなければならないな。そう思っていたところ、なんと! 民主党がうわばみの腹の中でぐずぐずに崩れ出したらしいのである。

 勢いに飲まれるということはある。昨年の日本シリーズの中日のように。だが、勢いを飲まれるということもあるんだ……、今年の日本ハムのように。

○日本ハムと民主党
 何だか場違いなことを書いている気がしないでもないが、私の中では、今年の日本シリーズと昨日からの政治ドラマは、こんなふうに重なってしまうのである。

 「日ハムとしては、今日は是非とも勝っておきたい」。10月30日、ブログにこう書いて、茶の間に出てみると、1回の裏、あれあれと言っている間に、日ハムが7点取られてしまった。これで流れは完全に中日に移り、11月1日には完全試合という大記録のおまけまで献上して、日本ハムの戦いは終った。

 第三者的に言えば、中日の山井投手が完全試合を達成したわけではない。しかし、日本ハムの側に立てば、ランナーを一人も出さずに完敗した事実は残る。この屈辱の記憶は、時間が経つにつれて、日本ハムの選手の中に重く沈殿してゆくだろう。それを如何に払拭するか。梨田新監督はそこから出発しなければならない。

○日本ハムの駒不足
 中日は川上で第1戦を落としたが、小笠原、田中、朝倉、山井という若手や中堅の投手が「試合を作って」くれた。
 ところが、日本ハムには、ダルビッシュ以外に試合を作れる投手がいなかった。正田は既に阪神へ出されてしまったが、その正田を含めて、鎌倉、須永、八木など、素質ある投手を獲得してきた。にもかかわらず、デビューした1、2年はいいのだが、その後伸びてこない。
 日本シリーズで目立ったのは、日本ハムの貧打だったが、本当の敗因は、こういう若手を育てられないコーチ陣にあったのではないか。
 入団2年目の吉川は好投した。小樽北照から入った植村ともども、来年はもっと伸びて欲しい。

○民主党の人材不足
 とにかく日本ハムは駒不足だった。
 自民党は、安倍晋三が期待のエースだったが、はやばやと崩れてしまった。しかし、福田康夫が試合を作っている。このまま勝利投手になりそうな気配だ。
 福田の次は「キャラの立ちすぎた」麻生太郎ではなくて、町村信孝のような気がする。少なくともこれまでのところ、彼の官房長官ぶりは、ここ数代の官房長官の中で――福田首相の官房長官時代も含めて――出色の出来栄えと言える。記者会見の場では、総理大臣の意向や内閣の方針をよく消化して、自分の言葉で応答し、しかも説明に過不足がない。そういう安定感がある。懐の深い人柄なのだろう。
 
 こんなふうに、自民党は次の候補者を複数挙げることができるのだが、民主党は小沢の後がいない。菅、鳩山、岡田なども考えられるが、二度目のお勤めみたいに薄汚れた感じで、新鮮さに欠けている。今日の午後7時のニュースでは、菅が慰留に赴いたが、はかばかしい返事が得られなかったらしい。それはそうだろう。記者会見までして辞意を表明した男が、翌日ころっと翻意して、民主党代表を続けるなんて言い出したら、それこそ茶番劇で、市民の信用を失ってしまう。

 民主党の、この駒不足は、後継者候補を育てるシステムを持たなかったためであろう。マスメディア受けしたい、物欲しげな人間が寄り集まった、烏合の衆でしかない。そんな体質が露呈してしまった1日だったように思う。

○1イニングに凝縮したドラマ
 それにしても、日本シリーズの第5戦で、9回表にマウンドに上った岩瀬のプレッシャーは、凄いものがあっただろうな……。よほどの緊張があったらしく、しきりに唇を舐めていた。1点もやれない、というだけではない。一人のランナーも出せないという、ぎりぎりの状況の中で、しかし彼は見事に役割を果たし、私は感動した。
 もちろん彼は、一人でもランナーを出せば、山井の記録を色あせたものにしてしまうだけでなく、落合の采配に非難が集中することを、十分過ぎるほど十分に承知していたはずである。
 
 今年の日本シリーズは、あまりにもあっけなく終わり、盛り上がりに欠けていたが、あの9回表の1イニングに、日本シリーズとしての緊張とドラマが凝縮していたと思う。

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