甲子園・2006年夏(9)
気持のいい試合
○試合を「作った」日大山形の青木
明日は小樽で仕事があり、その準備のため、今日は日大山形と早稲田実業の試合しか見られなかった。
今日のこの試合を「作った」のは、日大山形の投手・青木だったと言っても過言ではないだろう。
これまでの試合では、青木はショートを守り、いわば二番手投手。身体は決して大きいほうではなく、面立ちは優男ふうで、まだ幼な顔が残っている。そのため、むしろ華奢に見えるのだが、それかあらぬか、立ち上がりは、味方のエラーにつけ込まれて、あっさりと1点を献上してしまった。
「やっぱり甲子園の大舞台は荷が重いのかな」。ついそんなふうに思ってしまったのだが、どうしてどうして、2回は早稲田の攻撃を3者3振で退け、それからは自在に早稲田のバッターを翻弄している。
私は素人なので、その辺の呼吸はよく分からないのだが、解説者の説明によれば、彼の球は打者の手元で微妙に変化し、バットの芯に当てさせないのだそうである。
こうして、彼は早稲田の斉藤と息づまる投手戦を演じ、6回表の攻撃では、みずから3塁打を放ってチャンスを作り、2対1と逆転した。
特に彼は斉藤に強烈なライバル意識を抱いていたらしく、気合を入れて立ち向かい、投げては斉藤を二度続けて3振に討ち取り、打っては斉藤から2安打を放ち、いわば投打に斉藤を圧倒していた。「もしこのまま日大山形が押し切ったら、青木一人で早稲田実業を倒したことになる」。私は感心して見ていた。
「これだけの投手を控えに廻して、3試合も勝ち抜いてきた。日大山形はふところが深いな」。
しかし試合は、8回裏、早稲田の攻撃で、代打・神田のヒットを手がかりに4点を奪って、5対2と逆転し、そのまま逃げ切った。
青木に勝ち急ぎの意識が働いたためかもしれないが、彼の踏ん張りは自分のチームのよさを引き出しただけではない。ある意味で、斉藤の後半の力投をも引き出した。そう言うことができる。昨日の2試合とは異なる、締まった、気持のいい試合だった。
○訂正を一つ、
昨日私は、東洋大姫路の1塁手・岡の守備を「おせっかいプレー」と評した。
しかし今朝、別な角度から映したテレビを見て、むしろこれはピッチャーの乾に責任がありそうだな、と思い直した。乾は内野ゴロを打たせ、一瞬「しめた」という安心感に囚われたためか、1塁へのベースカバーが遅れたのである。
東洋大姫路の岡選手には心ない批評をしてしまった。申し訳ない。
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